トランポリンとは|ルール・採点(難度・演技・跳躍時間・移動)と日本の主な選手

TRAMPOLINE GYMNASTICS

トランポリン

トランポリンは、ばねで張ったベッド(跳ねる布)の上で高く跳び、宙返りやひねりを10本続けて見せる採点競技です。オリンピックでは2000年のシドニー大会から男女の個人が行われています。点数は難度・演技・跳躍時間・水平移動の4つを足して決めます。

日本は五輪のメダルはまだありませんが、世界選手権では森ひかるが2019年に日本選手で初めて個人の金メダルをとりました。2025年の世界選手権でも6個のメダルをとり、2026年11月には中国・南京で次の世界選手権が開かれます。

この種目の日本の主な選手

トランポリンはどんな競技か

競技用のトランポリンは、鉄のフレームにばねでベッドを張ったもので、ベッドの大きさは縦4.28メートル、横2.14メートルと決められています。ベッドの真ん中には赤い十字の印があり、選手はこの印のまわりで跳び続けます。

選手は助走なしでまっすぐ上に跳び、空中で宙返り・ひねり・その組み合わせの技を、着地せずに10本続けて行います。1本の技が終わってベッドに落ちた反動で、すぐ次の技に入ります。トップ選手は空中にいる時間だけで10本の合計が18秒前後になります(パリ五輪男子の金メダリストは18.490秒)。

遊び場にある家庭用のトランポリンとちがい、競技では指導者と補助の人がつき、フレームのまわりには安全のためのマットを置きます。

歴史

年 できごと
1930年代〜 アメリカの大学などでスポーツとして広まり、その後ヨーロッパに伝わる
1959年 日本に紹介される
1964年 イギリス・ロンドンで第1回世界選手権。日本でも大阪府で第1回全日本選手権
1972年 日本トランポリン協会ができる(いまは日本体操協会のトランポリン部門が大会を運営)
2000年 シドニー五輪で男女の個人が正式種目になる
2019年 東京で開いた世界選手権で森ひかるが女子個人の金メダル
2025年 スペイン・パンプローナの世界選手権で日本がメダル6個
2026年 中国・南京で第39回世界選手権(11月4〜8日)

演技と順位の決め方

大会は予選と決勝で行います。予選では2本の演技をします。決勝は予選の上位8人が1本ずつ演技し、予選の点は持ちこさず決勝1本の点だけで順位を決めます。

予選の数え方は大会の規則で変わります。2021年の東京五輪では予選2本の合計で順位を決め、2024年のパリ五輪では2本のうち高いほうの点で決めました。1本目で失敗しても、2本目で取り返せるしくみです。

10本の途中でバランスをくずしてベッドの外に出たり、技を止めたりすると、そこで演技は終わりになり、そこまでの技しか点になりません。パリ五輪の男子決勝では、ニュージーランドの選手が途中で演技を止めてしまい、19.500点で8位になりました。最後まで10本を続けることが何より大事です。

採点のしくみ(D・E・T・H)

点数は次の4つを足して決めます。ペナルティ(違反)があればそこから引きます。

点の種類 中身
D(難度点) 宙返りの回数やひねりの数で決まる技の難しさ。10本の合計。たとえば1回の宙返りは、ひざをかかえるタック姿勢で0.5、体を伸ばした姿勢で0.6が基本で、ひねりを加えると上がる
E(演技点) 姿勢の美しさや足先までそろっているかなど、できばえを見る点。20点から減点する。審判の点のうち、いちばん高い点と低い点をのぞいて計算する
T(跳躍時間点) タイム・オブ・フライト。空中にいた時間の合計を機械で秒単位に測る。高く跳ぶほど点が高い
H(水平移動点) ベッドの真ん中からどれだけずれずに跳べたか。10点から減点する

例として、パリ五輪男子で金メダルをとったイワン・リトビノビッチの決勝は、D18.400+E16.700+T18.490+H9.500=63.090点でした。女子の上位は56〜57点ほどです。難しい技を入れるほどDは上がりますが、高さが落ちたり真ん中からずれたりするとTやHが下がるため、どこまで攻めるかが勝負の分かれ目です。日本の代表選考でも、同点のときはT(跳躍時間)、H(水平移動)、D(難度)の順で上位を決めます。

シンクロ・ダブルミニ・タンブリング

五輪で行われるのは男女の個人だけですが、世界選手権ではほかの種目もあります。

シンクロナイズド

2台のトランポリンを並べ、2人が同じ技を同時に跳ぶ種目です。跳躍時間点のかわりに「同時性」の点(10点満点)があり、2人がベッドにふれるタイミングのずれが小さいほど点が上がります。男子・女子に加え、2025年の世界選手権では男女1人ずつの混合シンクロも行われました。日本は2025年に女子シンクロで金(森ひかる・田中沙季、50.250点)、男子シンクロで銀(松本悠生・宮野隼人)、混合シンクロで銀(櫻井愛菜・宮野隼人)をとりました。

ダブルミニトランポリン

助走をつけて小さく細長いトランポリンに乗り、台の上で2つの技を続けて行ってからマットに着地する種目です。2回の試技の合計で争います。着地をぴたりと止めることが大事です。

タンブリング

弾む細長い走路の上を走りながら、側転や後転とび、宙返りなどを8つ続けて行う種目です。スピードを落とさずに、最後の大きな宙返りまでつなげる力が問われます。

団体と団体総合

世界選手権には、国ごとに4人の個人の成績を合わせる団体や、トランポリン・ダブルミニ・タンブリングの8種目の成績で争う団体総合もあります。2025年の団体総合で日本は5位でした。

世界の強い国と選手

トランポリンは中国が強く、2025年の世界選手権では男子個人をワン・ズーサイ(63.470点)、女子個人をフー・イーチョン(57.350点)が制し、団体総合も中国が優勝しました。ベラルーシのイワン・リトビノビッチは東京五輪とパリ五輪の男子で2大会続けて金メダルをとっています。

大会 男子の優勝 女子の優勝
2021年 東京五輪 イワン・リトビノビッチ(ベラルーシ) 61.715点 ジュー・シュエイン(中国) 56.635点
2024年 パリ五輪 イワン・リトビノビッチ(個人の中立選手) 63.090点 ブライオニー・ペイジ(イギリス) 56.480点
2025年 世界選手権 ワン・ズーサイ(中国) 63.470点 フー・イーチョン(中国) 57.350点
2026年 アジア大会 ヤン・ランユー(中国) 森ひかる(日本)

2025年の女子個人では、2位の森ひかるが57.320点で、優勝との差はわずか0.030点でした。女子は日本と中国、イギリスなどがメダルを争う形が続いています。

日本の歩み

オリンピック

大会 日本の主な成績
2012年ロンドン 男子 伊藤正樹 4位
2016年リオデジャネイロ 男子 伊藤正樹 6位
2021年東京 女子 宇山芽紅 5位、男子 岸大貴 7位。森ひかるは予選13位、堺亮介は予選15位
2024年パリ 女子 森ひかる 6位(54.740点)。男子 西岡隆成は予選16位

日本体操協会のメダリスト一覧(2026年8月時点)では、トランポリンの日本選手の五輪メダルはまだ0個です。女子では東京五輪の宇山芽紅の5位が日本勢でいちばん上の順位です。

世界選手権

年・開催地 日本の主なメダル
2011年 イギリス・バーミンガム 伊藤正樹 男子個人 銅
2017年 ブルガリア・ソフィア 岸彩乃 女子個人 銀(日本女子の個人で初の銀)
2018年 ロシア・サンクトペテルブルク 森ひかる・宇山芽紅 女子シンクロ 金
2019年 日本・東京 森ひかる 女子個人 金(55.860点)、女子団体 金
2021年 アゼルバイジャン・バクー 女子団体 金、森ひかる組 女子シンクロ 銀
2022年 ブルガリア・ソフィア 森ひかる 女子個人 金、森ひかる・宇山芽紅 女子シンクロ 金
2025年 スペイン・パンプローナ 森ひかる 女子個人 銀、宮野隼人 男子個人 銅、シンクロ金1・銀2、女子団体 銅

協会のまとめでは、世界選手権のメダルがいちばん多い日本選手は森ひかる(金7・銀3・銅2)と上山容弘(金5・銀3・銅4)で、ともに12個です。ほかに宇山芽紅(4個)、伊藤正樹(5個)、高木裕美(3個)などがメダルを持っています。

アジア大会

2026年に愛知・名古屋で開かれたアジア大会では、女子個人で森ひかるが金、宇山芽紅が銀をとり、日本が1・2位を占めました。男子はヤン・ランユー(中国)が金、ワン・ズーサイ(中国)が銀で、日本選手はメダルに届きませんでした。これまでのアジア大会では、2018年に森ひかるが銀、2014年に岸彩乃と上山容弘が銅、2023年の杭州大会で山田大翔が銅をとっています。

主な大会

大会 時期のめやす 中身
世界選手権 秋(五輪の年以外) 2026年は11月4〜8日、中国・南京
ワールドカップ 春〜夏 2026年はスイス・アローザ、ポルトガル・コインブラなど
アジア選手権 春 2026年は5月23〜24日、香港。アジア大会の予選
アジア大会 4年に1度 2026年は9月27日、名古屋の日本ガイシホール
日本代表最終選考会 6月 世界選手権などの代表を決める
全日本選手権 秋 トランポリン・タンブリング・ダブルミニの日本一を決める
ジャパンオープン 12月 神奈川・川崎で開催。代表選考のランキングにも使われる
国民スポーツ大会 秋 2026年は9月9日、青森の岩木山総合公園体育館

日本の主な選手(2026年世界選手権の代表)

名前 性別 所属 主な成績
森ひかる 女子 GATE 世界選手権個人金2回(2019・2022年)、2025年銀。2026年アジア大会金
宇山芽紅 女子 スポーツクラブ テン・フォーティー 東京五輪5位。2026年アジア大会銀
田中沙季 女子 株式会社光和 2025年世界選手権 女子シンクロ金
田中希湖 女子 金沢学院大学クラブ 2026年世界選手権 個人代表
宮野隼人 男子 滋賀県スポーツ協会 2025年世界選手権 男子個人銅、シンクロ銀2つ
松本悠生 男子 金沢学院大学クラブ 2025年世界選手権 男子シンクロ銀
岸大貴 男子 株式会社ポピンズ 東京五輪7位
堺亮介 男子 CRAZY-TRAMPOLINE/ステディジャパン株式会社 東京五輪代表

2026年のおもな流れ

日付 大会 場所
5月23〜24日 第7回アジア選手権 香港
6月6〜7日 タンブリング・ダブルミニ 日本代表最終選考会 国内
6月12〜14日 トランポリン 日本代表最終選考会 国内
6月26〜27日 ワールドカップ第3戦 スイス・アローザ
7月4〜5日 ワールドカップ第4戦 ポルトガル・コインブラ
9月9日 国民スポーツ大会 青森・岩木山総合公園体育館
9月27日 アジア大会 名古屋・日本ガイシホール
11月4〜8日 第39回世界選手権 中国・南京
11月12〜15日 世界ジュニア選手権・世界年齢別大会 中国・南京
12月 ジャパンオープン 神奈川・川崎

観戦のポイント

  • 演技が終わると、D・E・T・Hの内わけが表示されます。Tが18点をこえる男子選手は、とても高く跳べている証拠です。
  • 10本目の技のあと、ベッドの上でぴたりと止まれるかにも注目です。止まりきれずに大きく体がゆれると減点になります。
  • ベッドの真ん中の赤い十字のまわりで跳び続けられているかを見ると、H(水平移動点)の良し悪しが分かります。

ロサンゼルス五輪への道

日本体操協会が2026年10月に決めた選考方針では、2028年ロサンゼルス五輪の代表は男女それぞれ最大2人です。2027年の世界選手権、オリンピック予選ランキング、アジア選手権のどれかで出場権を得た選手を代表とし、国内での選考会は行いません。2026年の南京の世界選手権は五輪の出場権には直接つながりませんが、男子はここでメダルをとると、予選となるワールドカップ第1戦の派遣で優先されます。

この種目のこれからの大会

日程 大会 開催地 案内
11月4日(水)〜8日(日) 第39回世界トランポリン競技選手権
日本代表はトランポリン12人・タンブリング6人・ダブルミニ4人(南拓斗はタンブリングとダブルミニの両方)。森ひかる・宇山芽紅・宮野隼人らが出場。
南京(中国) 大会の案内
11月12日(木)〜15日(日) 第3回世界ジュニアトランポリン競技選手権・第32回世界年齢別トランポリン競技大会 南京(中国) 大会の案内
11月19日(木)〜22日(日) 第63回全日本トランポリン&タンブリング競技選手権
入場無料。トランポリン・タンブリング・ダブルミニを同時開催。YouTubeでライブ配信。
タクミアリーナ(大館市樹海体育館、秋田県) 大会の案内
12月4日(金)〜6日(日) 2026川崎トランポリンジャパンオープン
入場無料。YouTubeでライブ配信。
東急ドレッセとどろきアリーナ(川崎市) 大会の案内
5月28日(金)〜30日(日) トランポリン ワールドカップ バクー大会 バクー(アゼルバイジャン) 大会の案内
6月11日(金)〜13日(日) トランポリン ワールドカップ メス大会 メス(フランス) 大会の案内
7月2日(金)〜4日(日) トランポリン ワールドカップ コインブラ大会 コインブラ(ポルトガル) 大会の案内
10月1日(金)〜3日(日) トランポリン ワールドカップ リッチョーネ大会 リッチョーネ(イタリア) 大会の案内
10月8日(金)〜10日(日) トランポリン ワールドカップ コトブス大会 コトブス(ドイツ) 大会の案内
11月10日(水)〜13日(土) 第40回世界トランポリン競技選手権 ソフィア(ブルガリア) 大会の案内
11月17日(水)〜20日(土) 第33回世界年齢別トランポリン競技大会 ソフィア(ブルガリア) 大会の案内

ほかの種目の大会日程も見る

この種目の最近の結果

日程 大会 結果
9月27日(日) 第20回アジア競技大会(トランポリン) 女子は森ひかるが金メダル、宇山芽紅が銀メダル。男子は松本悠生が4位、岸大貴が6位。
3月12日(木)〜13日(金) トランポリン ワールドカップ アルクマール大会 女子シンクロナイズドで田中沙季・森ひかる組が銀メダル。

よくある質問

トランポリンで日本はオリンピックのメダルをとったことがありますか。

2024年のパリ五輪まで、日本選手のメダルはありません。男子は2012年ロンドン五輪の伊藤正樹の4位、女子は2021年東京五輪の宇山芽紅の5位が日本勢の上位の成績です。

跳躍時間点(タイム・オブ・フライト)とは何ですか。

10本の演技のあいだに空中にいた時間の合計を、機械で測って点にしたものです。高く跳ぶほど空中にいる時間が長くなり、点が上がります。

演技では何本の技を跳びますか。

個人もシンクロも、宙返りやひねりの技を10本続けて跳びます。途中でベッドの外に出たり止まったりすると、そこで演技が終わります。

シンクロナイズドはどうやって採点しますか。

難度・演技・水平移動に加えて、2人がどれだけ同時に跳べたかを見る「同時性」の点(10点満点)で採点します。跳躍時間点はありません。

2026年のトランポリン世界選手権はいつですか。

2026年11月4〜8日(現地時間)に中国の南京で開かれます。日本からは森ひかる・宇山芽紅・宮野隼人らが出場します。

出典

情報の確認日:2026-10-20。日程は開催地の日付です。変更があるため、出かける前・見る前に主催者の案内をご確認ください。

タイトルとURLをコピーしました